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Story of Biccyuu Kagura

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inasihagisusanou

神代神楽


大蛇退治(おろちたいじ)




大蛇退治の概要

 悪行の数々をはたらいたため高天原(たかまがはら)を追いやられた素戔嗚(すさのお)の命が、奇稲田姫(くしいなだひめ)を救う為に、頭が八つ、尾が八つ、目は鏡のごとく照り輝き、背びれ、尾びれをたなびかせた、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治するお話。

  第一幕

susanou
素戔嗚の命



まことなるかな神無月 根底(ねそこ)の国へ避(さこ)うらん


高天原(たかまがはら)を追いやられた素戔嗚(すさのお)の命は、
出雲の国の簸(ひ)の川上(現:斐伊川)に降り立つ。



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  第二幕

asinaduti
脚摩乳の命
tenaduti
手摩乳の命


世の中にあわれと思う神あれば 助け給(たま)えや姫の命を


この時、川上で嘆き悲しむ脚摩乳(あしなづち)と
手摩乳(てなづち)の老夫婦に出会う。
嘆きの仔細を聞いた素戔嗚の命は、ただ一人大蛇の口から逃れて生存する
奇稲田姫(くしいなだひめ)との婚約を条件に、
謀りごとをもって八岐大蛇(やまたのおろち)を退治する約束をする。

朝起きて夕べに顔は変わらねど
いつの間にやら皺(しわ)はよるなり




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  第三幕


奇稲田姫

奇稲田姫の一首。

君をたずねて行く道ぞ 都の方へ急ぐらん



素戔嗚の命の返歌。

日は暮るる佐草野の月はや入りて 恋路の闇に我身迷わす

 場面が代わって姫が舞いだし、素戔嗚の命との契りの舞を披露する。
夫婦になり須賀の地に宮を造る。

素戔嗚の命の一首。

八雲たつ出雲八重垣 夫妻隠(つまご)みに
八重垣つくる その八重垣を


出雲の地名の語源は、八雲が沸き起こるという意味であり、
湧き出る雲は八重垣をつくる。



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  第四幕

matunoumyoujin
松尾明神

室尾明神
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木名玉明神

素戔嗚の命の謀りごととは、
奇毒酒を大蛇に与え、酔いつぶれたところを宝剣で退治するとの事。
その奇毒酒(にごり酒)を造らせる為、松尾明神を呼ぶ。

世の中にいらざるものが三つある 馬鹿に借銭ほうろくのめげ

皆様よ親しき仲にも礼儀あり 有ると言う字も角があるなり


そして、酒つくりの守護神松尾明神(まつのおみょうじん)の
おどけた話芸をはさみ、室尾(むろのお)明神と木名玉(くしなたま)明神と共に、
神変奇濁やしほをりの酒八千石の醸造を行う。



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  第五幕

daijya
大蛇

稲田姫大蛇の口はのがれつる
その謀略(たばかり)か酒ぞかしこき


幕掛りの仕度を整えた素面(すめん)の素戔嗚の命のすさまじい大蛇退治がはじまった。
胴経約四十センチ、長さ約十二メートルもある大蛇が、素戔嗚の命に襲い掛かる。



素戔嗚の命は、ついに、大蛇の首をきりおとす。

大蛇を退治て一刀の宝剣を得たり。この剣こそは、
姉上天照皇大神にささげたてまつるにて候。




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その後のお話・・・


素戔嗚の尊と奇稲田姫は出雲の清地(すが)に来て、二人は結婚した。
 やがて大己貴神(おほあなむちのかみ)が誕生し、
後に大国主(おおくにぬし)の神となり
少彦名命(すくなひこなのみこと)と力を合わせて
出雲の国を建国することになる。

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日本の神の系図
(古事記による)
        いざなきの尊 ━  いざなみの尊
                  ┃(子)          あしなづち ━ てなづち
    ┃━ ━ ━ ━ ━ ┃━ ━ ━ ━ ┃         ┃(子)
おおやまつみ神  あまてらすおおみ神  すさのおの命 ━ くしないなだ姫
    ┃(子)          ┃(孫)             ┃(子)
このはなのさくや姫 ━ ににぎの尊         おおくにぬしの命
             ┃                     ┃(子)
             ┃(四代)          ┃━ ━ ━ ━ ━ ┃
           神武天皇        ことしろぬしの命  たけみなかたの命
         大和の国                    出雲の国
        「天(あま)つ神」                 「国つ神」
         伊勢神宮                    出雲大社

神楽の豆知識
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登場の神々

素戔嗚の命
素戔嗚の命(すさのおのみこと)
いくさ神として祭られる。
 スサの意味は、出雲風土記の須佐の地名からとの説とスサブ、スサマジ(非常に事が進み手のつけられない様子)からとの説がある。
 多くの残忍なふるまいに、父母よりヨミの国に行くように命じられるが、その前に姉の天照大神に悪意のなきことを証明する為に向かうが、そこでも更に乱暴を繰り返した為に顎ひげを抜かれて簸の川のほとりに追放される。
 古い時代の面には口ひげがありませんが現代の面にはあります。
 奇稲田姫と出会い、八岐大蛇を退治する。
奇稲田姫と契りを交わす理由について命が申す。
「・・・・大蛇といえども生あるもの。ゆえなくして殺めるは神の道にあらず。その姫我にくれるとあらば、我が身にとって大蛇は姉の敵となる。・・・・」
 八岐大蛇を退治て、天むらくも剣を得る。
 奇稲田姫と結婚して大己貴神(おおなむちのかみ)つまり大国主神を生み、ヨミの国にいきます。
 「大蛇退治」の演目を「祇園」とも呼ばれています。これは、京都の八坂神社(祇園さん)の祭神が素戔嗚の命であることが由来です。


脚摩乳の命
脚摩乳の命(あしなづちのみこと)
手足を撫でて愛する娘を慈しむ意味をもつ。アシナは、浅稲(晩生の稲)の精霊。
後に、素戔嗚の命と奇稲田姫の新婚の宮の長官として稲田宮主(いなだのみやぬし)神となる。
面には、娘の助命を願う、なんとも哀愁に満ちた表情がうかがえる。


手摩乳の命
手摩乳の命(てなづちのみこと)
手足を撫でて愛する娘を慈しむ意味をもつ。テナは、速稲(早稲)の精霊。
面には、娘の助命を願う、なんとも哀愁に満ちた表情がうかがえる。


奇稲田姫
奇稲田姫(くしいなだひめ)
奇(くし)は、霊妙不思議の意味。
不思議に豊かに実る田を意味する。稲田の神格化。
 蛇は、水の精霊で農業の豊凶を左右する。巫女がその水の精霊に奉仕して農業の豊穣を求める儀礼が、やがて変化して悪い大蛇に娘が奪われるといった話に転じたといわれている。


松尾明神
松尾明神(まつのおみょうじん)
酒造りの守護神。
八回も繰り返して醸造した強烈な酒を造ります。

京都市右京区嵐山の松尾神社の祭神。茶利役。
備中神楽の松尾さんは、島根県平田市の佐香神社(松尾神社)からやってくる。


室尾明神
室尾明神(むろのおみょうじん)
兵庫県揖保郡御津町室津の明神山の加茂神社の祭神。茶利役。
松尾明神と共に酒造りの手伝い人。
手伝い人をこの地区では、「てごにん」と呼びます。


木名玉明神
木名玉明神(きなたまみょうじん)
松尾明神と共に酒造りの手伝い人。茶利役。
手伝い人をこの地区では、「てごにん」と呼びます。


八岐大蛇
八岐大蛇(やまたのおろち)
日本書紀では「頭尾各八岐あり」として登場する。
蛇徳鬼神(じゃとくきじん)として、再び敵として蘇らないように祭られている。
大蛇が本当に生きているかのような、動きが見所です。
蛇は、水の精霊。
「八岐」や「八雲」などの「八」の意味は、末広がり的に「とても多い」「すごくたくさん」の意味であり、8個、8本などにこだわっているわけではない。
神楽面のお話
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参考文献
・大塚 尚男氏  「備中神楽面」
・大塚 尚男氏  「神楽新聞」
・三村 信介編  「備中神楽」
・逸見 芳春編  「神楽絵巻」改訂版
・山根 賢一著  「備中神楽」
・神崎 宣武編  「備中神楽の研究」
・神崎 宣武文  山陽新聞サンブックス「備中神楽」
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